こんにちは。Tanzaniteの伊藤です。
今回は自分が感じるUnreal Engineを使用した業界に衝撃を与えた画期的な作品や、ヴィジュアルのクオリティが高い作品などおすすめの映像を紹介します。
『ストリートファイターV』は、カプコンさんが出している言わずと知れた人気の格闘ゲームシリーズです。
本作は自分も制作で携わっていました。現在、Unreal Engineに関わる仕事をしているきっかけの作品ということもあり、外せない一本です。
それまでのゲーム内映像制作では、CG映像会社がムービーを作り、ゲームエンジンで実装してもらうという形が一般的でしたが、本作はUnreal Engineを使うことで、ゲーム会社とCG映像会社が同じツールでの作業が可能になりました。
Unreal Engineを使って同じ環境で操作できるようになったことで、ゲームのCGモデル、アセット、CGキャラクターも一緒に作ることが可能となり、映像の作り方とゲームの作り方をミックスして作ったのが本作の大きなポイントです。
ゲームのアセットをがっつり作ったり、試行錯誤しながらみんなで作り上げたりと、大変なこともありましたが今となっては良い思い出ですし、当時は画期的と言える作り方だったと思います。
『Project LayereD』は、バンダイナムコエンターテインメントさんのスマートフォンゲームです。
メディアミックスの本作は、『レイヤードストーリーズ ゼロ』と言うタイトルで、ゲームだけでなく漫画やアニメなどを展開していました。現在は残念ながらゲームサービスは終了してしまったんですが、ゲーム内で流していたアニメがYouTubeにアップされています。本作は全9話あり、それぞれ15分程度の映像を前編後編に分けて配信していました。
『ストリートファイターV』の制作でUnreal Engineに触れたことで、その後もUnreal Engineの可能性を追求したいと思うことが多くありました。そこから、「またリアルタイムエンジンをつかって映像を作りたい」と企画から携わったのが本作です。
はじめはすべてリアルタイムで作ろうと考えていましたが、結果として本作はプリレンダーとUnreal Engineの併用で制作しました。
なぜそのような作り方をしたかと言うと、技術的な知見が足りずに、魅せたい表現が出来なかったなどの課題があったためです。そこを解決するためにはエンジンをいじる必要があるんですが、当時は適切に作業できる人がおらず。「純正のエンジンのままでやるにはどうしたら良いか」と試行錯誤しましたが、思ったようなクオリティに達することができませんでした。
最終的にはUnreal Engineでできる限りトライしつつ、箇所によって適切なツールを使用して安定的なクオリティを担保するという結論になりました。
アニメーション作品は背景がたくさん出てきますが、すべてCGで作るとコストがかかりすぎてしまいます。そういった部分は、2Dの背景とハイブリットでつくるなど工夫しています。その他にも部分的にプリレンダーを使うなど、シーンに応じてベストなクオリティになるように試行錯誤してツールを使っていました。
ちなみに、一話の序盤等のバトルシーンはすべてUnreal Engineで作っています。動きが激しいシーンですが、イメージ通りに仕上がりました。
“Siren”はEpic Gamesのデモで作られたデジタルヒューマンで、実在する女優さんを元にCGで再現して喋らせている作品です。実際に人間が話をしているかのように見えるほどのリアリティを追求した映像にとても驚きました。
現在ではリアルな表現の映像はたくさん出ていますが、今から6年前の2018年の段階で既にここまで到達していたことが本当にすごいなと思います。デジタルヒューマンの可能性を感じた作品ですし、大きなインパクトを受けました。
テレビシリーズのアニメ作品をリアルタイムエンジンだけで完結させることを成し遂げたのが本作です。数々の会社がトライしてもなかなかできなかったことですし、世界初と言えるのではないでしょうか。
自分が目標としている「リアルタイムでアニメーションを作る」ことが可能であると証明してくれた作品です。自分が目指している道は間違っていないと感じさせられました。
また、本作はあらゆるノウハウの集約でできた作品とも聞いています。その知見や工夫あってここまで仕上げたことが本当に素晴らしいと思いました。
ゲームとしてもとても面白く、キャラクターが魅力的で絵作りも綺麗なのが『ブループロトコル』です。
Unreal Engineは写実的表現が得意と言われている中で、あえて苦手だとされるトゥーン表現に行き着いて、なおかつ動きもスムーズでこれだけ綺麗に表現できたことがすごいです。
Unreal Engineだけでテレビシリーズを作ったガンダムや、トゥーン表現を極めたブループロトコルなど、自分がやって行きたいと考えていることはできないことはないんだと改めて勇気づけられました。
リアルタイムでの映像制作がツールの選択肢として当たり前になるような未来に希望が持てますし、自分が思い描いている「リアルタイムエンジンでの映像制作」は夢じゃないと思っています。
今回紹介した作品はもちろん、様々な作品から学べることを活かして、Tanzaniteで実現できるようにして行きたいです。