こんにちは、Tanzanite代表の伊藤です。
弊社は、リアルタイムエンジンを使用したCG映像制作に特化したプロダクションを目指しています。
今回のブログでは、リアルタイムエンジンでの映像制作に対する思いについて書いていきたいと思います。
ポリゴン・ピクチュアズに在籍していた際に制作した「ストリートファイターⅤ」でリアルタイムエンジンに出会いました。
Unreal Engineを使用した映像制作は初めてだったので、試行錯誤を重ねながらの制作で、自分のプロデューサー人生の中でも5本の指に入るくらい苦戦しましたが、同時にリアルタイムエンジンの魅力も発見できました。
リアルタイムエンジンを使用した映像制作には、
・各セクションが同時に制作ができる
・ファイナルのルックをリアルタイムで確認しながら制作を進められる
という点に将来性を感じていました。
しかし、当時は自分の技術や知見が足りていなかったため、やりたい表現の実現が出来ず、プリレンダーと比べて見栄えが劣ってしまい、リアルタイムでの映像制作に半信半疑になっていました。
その中で「RWBY」という映像作品を目にする機会がありました。
RWBYはアメリカのルースター・ティーンズ・プロダクションが制作したWEBアニメシリーズで、2013年に配信が開始され、現在は第9期まで公開されています。アニメシリーズは日本で制作されていたり、アークシステムワークスからゲーム化されていたりと、日本国内でも人気のある作品です。
周りのスタッフからの評判が良く、気になって見るようになったのですが、キャラクターの魅力や世界観に引き込まれ、大好きな作品になりました。
Webアニメなので、色々試行錯誤しながらなのか、割り切る部分は割り切って作られているのですが、
キャラクター表現やストーリーなど、作品を構成する要素の全てを含めて、映像は魅力的になる、という大事な部分に気づかされました。
当時のリアルタイムエンジンでの映像制作は、プリレンダリングと比べてやりたい表現が100%出来ず、クオリティが少し劣ってしまうこともありました。
そのため使用することを躊躇していましたが、大事なのは作品全体としての魅力であるということに改めて気づかされ、リアルタイムエンジンを使用した映像制作を追求することにしました。
リアルタイムエンジンでの映像制作を検討していく中で、ポリゴン・ピクチュアズにゲームとアニメのメディアミックスの案件の相談があり、自分がプロデューサーとしてアニメ版の映像制作の企画コンペに参加することとなりました。
リアルタイムエンジンでの制作フローを本格的に案件へ取り入れるべく、「アニメとゲームでCGアセットを共通化して、アセットのコストを抑えつつ、ハイエンドCGアニメを作る」というマルチリソースの企画を提案しました。
クライアントやゲームの開発会社には非常に興味を持っていただき、制作させていただけることになりました。
ただ実際に制作を進めていくと、アニメとゲームがほぼ同時進行で使用したい時期にアセットが間に合わなかったり、ゲームとアニメでの作りこみに対する考え方の違いや処理負荷への懸念など、様々な問題が発生し、想定よりも開発期間が掛かってしまいました。
結果、途中でコンシューマー版のゲーム開発が中止になり、マルチリソースでの制作は上手くいかないまま、プリレンダーでの開発をすることになりました。
その後はリアルタイムエンジンの魅力に取り憑かれたこともあり、Unreal Engine専門会社に転職し、Unreal Engineを使用したゲーム開発に携わりました。
その中で、当時どうしてもやり残した「リアルタイムエンジンでの映像制作」にもう一度トライしたいと考えるようになりました。
当時よりも映像業界でのリアルタイムエンジンの使用経験が増えてきたこともあり、
これまで自分が培ってきた「映像会社」での経験と「Unreal Engine専門会社」での経験をミックスすることを強味とし、リアルタイムエンジンでの制作に特化したプロダクションとして、Tanzaniteを設立しました。
Tanzaniteの強みや大事にしていること等については、今後このブログでも深堀りして書いていきたいと考えています。
ハイエンドコンシューマーゲームのインゲーム映像がプリレンダーからリアルタイムに切り替わったように、CGアニメの世界でもリアルタイムエンジンを使用した映像が一つの手段として選ばれるよう、新しいフローを築いていくことを目標としております。
リアルタイムエンジンでの映像制作で何かお困りの点や少しでも興味がおありでしたら、是非お声がけいただければと思います。
次回は、Tanzaniteの社名に込めた思いと、大切にしていることについて、書いていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。